特許制度の目的
特許制度は、産業の発展を促すことが目的です。
製品やサービスの研究・開発には人、モノ、金と投資が必要になります。そうした研究・開発の成果として生まれた様々なアイデアを一定期間保護することで、投資の回収をするとともに、新技術を産業界に公開することで、新たな技術的なアイデアを生み出し、産業や技術を発展させることが世の中を豊かにし、進歩していくことにつながります。
こうした産業の発展を促進するために、技術を公開する見返りとして独占権をあたえる仕組みとして、特許制度を設けました。独占禁止法の例外事項として、特許、実用新案、意匠、商標それに著作権の権利期間中は独占禁止法を適用しない規定(独占禁止法第22条適用除外、知的財産権の行使行為)を設け、権利者は一定の期間は排他的に独占できるのです。
図は特許制度の目的を表しています。新たなアイデアを生んだ人(企業に譲渡している場合は企業)は、発明の内容を説明した書類を特許庁に提出(出願)します。この書類を受理した特許庁は、出願から18か月経た時点で、出願された発明の内容を官報である特許公開公報を発行して、公衆、産業界に技術を公開します。この公開情報を参考にして、産業界はさらなる新たな技術を開発することに繋がり、技術の発展が期待できます。一方、出願人が独占権を得るためには特許庁に独占権として認められるかどうかの審査を依頼します。特許庁での審査を経て独占権としての特許権が確立します。
出願した発明が権利となれば、排他的な独占が認められますが、独占権の期間内であれば、権利者の判断で産業界に権利の実施の許諾を与えることができます。一般的には権利を実施するための対価であるロイヤルティを権利者に支払いますので、権利者は投資の回収を促進できるメリットも出てきます。
本内容はJPDSから発行された書籍「企業活動と知的財産~なぜ今、知的財産か~」から一部抜粋して知的財産の基礎的な知識をお伝えしています。
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