特許の制度
特許制度は、図に示すように1885年にスタートしました。当初は新規性の審査が行われ、先に発明したことが分かれば、特許庁への手続きの前後は問いませんでした。
現在の特許制度の原型が確立したのは1921年で、先に特許庁に対して手続きをした人を最先とする先出願主義が採用されました。特許登録前に権利化についての第三者の異議申立できる制度を設け、登録前の公告制度ができました。この公告制度は1995年12月まで運用されました。現在は登録後に異議申立ができる制度になっています。拒絶理由通知に対する意見を述べることができる制度も採用されました。
1970年になり、それまでは出願された案件はすべて審査されましたが、必ずしも必要のない権利が発生することになり審査の負担も増加するため、出願の審査が行われなくても出願から18か月で発明内容を公開し、出願人などが権利化必要と判断した案件だけを審査するために審査請求制度を新設しました。
後で述べる関連発明を追加して一つの出願にできる国内優先権制度が1985年に採用されました。
また、同じ目的であればカテゴリーの異なる複数の発明を一つの手続きでできる多項クレーム(請求項)制度が1987年に始まりました。これによって、多様な発明を1件の権利として設定できるようになったのです。
1990年には政府の手続きの電子化の始まりともいえるオンライン出願制度が実施され、紙による書面の郵送が主だった手続きの電子化が進みました。この結果、特許情報の電子化が進み、その後の調査の利便性向上に貢献しました。2002年には、出願人が知っている先行技術の開示義務が課されました。
2003年から2015年3月までは異議申立制度と無効審判制度の統合がなされ、異議申立制度が廃止されていましたが、当事者でないと権利の無効化が実質的には困難との意見を受けて、2015年4月からは新異議申立と称し、権利付与後異議申立制度が新設されました。
このように産業財産権制度は、産業やビジネスの変化に合わせ、比較的頻繁に制度が変わっていく傾向が顕著にあります。
本内容はJPDSから発行された書籍「企業活動と知的財産~なぜ今、知的財産か~」から一部抜粋して知的財産の基礎的な知識をお伝えしています。
|知財情報 TOP|