国内優先権制度
図には国内優先権制度の一例を示しています。
研究開発は、日進月歩と言われるように進歩します。
特許出願はすべての開発が終了した段階で技術内容をしっかりとまとめ一つの出願手続きが行えることが望ましいのですが、開発研究のどの段階で行えば良いか悩ましいところがあります。
つまり、技術的なアイデアが出て、ある程度実現性が確認または実験などで立証できた時点(発明が完成した)で出願することが望まれます。別のやり方や、条件を変えれば同じアイデアの他の実施方法もあるけれど実現性を把握するにはそれ相当の時間を要することも稀ではありません。ところが特許は初めに出願した者に与えられえるため、ある程度完成した時点で出願することも求められます。
こうした事情を考慮して研究開発の進捗にあわせ、後から出てきた追加のやり方を含めて発明の技術的な思想の充実を図ることができる制度が国内優先制度です。つまり先に出願した人に便宜を図るためにできた制度です。
初めの発明a1を出願した後に1年以内であれば、
① 発明の概念が同じもの(発明a2、発明a3)について、実施例のバリエーションを追加できる実施例補充型。
② 他の発明と併合したり、実施例を補充することで発明の上位概念を抽出する型。
③ 複数の別の日に手続きした発明について目的などが同じ場合には纏めることができる単一性追求型。
の3類型があります。それぞれの類型の条件を満足する場合には当初の出願から一年以内に補充や統合して上位概念化した発明Aを確立できる制度です。
初めに発明(出願)して、その後の実験や研究の進捗に合わせ、同じ概念の発明を統合することで技術的な思想を抽出して強く広い権利を取ることができるため、有効に使うことができる制度です。
本内容はJPDSから発行された書籍「企業活動と知的財産~なぜ今、知的財産か~」から一部抜粋して知的財産の基礎的な知識をお伝えしています。
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