特許情報とは
特許情報の活用や利用は先に述べましたが、ここで学会や論文などに比べてどのような違いがあるのかを整理しておきます。図には特許情報の特性を示しています。
特許情報は一般の論文などに比べ格段に早く、詳細であることを意識して頂きたいのです。何故技術内容が詳しいかといえば、特許権利を取得できる前提として、どのような目的で発明がなされたかを示します。さらにはその目的を解決するための手段にはどのようなものがあるかなどを、その技術分野における通常の知識を持っている人(当業者)が理解できて、再現できるまで詳細に示すことが求められるのです。
発明者が解決技術については具体的にどこまで考えたかで、権利の範囲も決まります。複数の解決策をたくさん示すことで、そうした解決の手段(実施態様:実施するための形態)を広範囲に示すことで初めて権利範囲が広くなり上位の概念で権利化が図れるのです。裏返せば、どこまで詳しく数多くの解決策を考えたかが、特許情報に記載されていることにつながるのです。
この技術的な開示を行う特許情報は、各国とも同じ形式になっていますので、技術情報としての取り扱いもしやすいといえます。また、独占権は世界で一番、世の中で最初に発明をして、特許庁に書類を提出した人に与えられます。(先願主義:先に特許庁に発明内容を記載した願書を提出)
したがって、学会発表に先立って特許願を提出して先願権を確保することが通常行われます。世の中で、一番早く開発技術の内容が示されるのです。特許庁では原則として出願の受理から18か月で、すべての発明を公開していますので、学会発表があった時にはすでに公開公報(特許情報)が発行されていることが少なくないのです。
こうしたこともあり、特許庁に出願された順番に、特許情報を並べれば、技術開発の動向を把握できるともいえます。
このように整理された技術情報ですので、ぜひとも活用して頂ければ、必ず有効性を実感できると確信しています。
本内容はJPDSから発行された書籍「企業活動と知的財産~なぜ今、知的財産か~」から一部抜粋して知的財産の基礎的な知識をお伝えしています。
|知財情報 TOP|