Vol.43|知的財産戦略の総合サポート

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製品出荷前にどうすべきか

 特許権は独占権です。前にも書きましたが、調査をしたり公報を読んでいなかったので、問題となる特許は見たことも聞いたこともないということは許されません。全く知らなかった場合でも、他社が特許権を取得して、出荷当時に権利が存続している場合には、その権利を無断で使用することはできないのです。権利を実施させて欲しいという使用の許諾を申し出ても断られ、実施を拒否されてしまうこともあります。このため、製品に採用した、または使う可能性のある技術に関係する特許権はすべて洗い出し、問題の無い状況にしておく事が望まれます。

 製品に関係する特許を洗い出す調査を、特許クリアランス調査といいます。まずは研究開発に先だって、権利の有無を調べることが求められます。製品のイメージが確定し、具体的に適用する技術が明らかになった時点でもクリアランス調査は必要です。研究開発は、競合企業と同時進行で進んでいる可能性がありますので、開発過程で設計レビューや進捗の確認などを行う度に、他社特許の存在確認を怠らないようにすべきです。製造工程に移行した後も、また、製品を出荷してしまった後も、権利化されるまでに時間が掛かり事前の調査で捉えることができなかった可能性もあり得ますので、複数の段階(時点)で調査を綿密に行う必要性があります。

 

 クリアランス調査のポイントを図に示しました。

クリアランス調査のポイント

 まずは製品に適用、採用した技術の洗い出しを行います。製品に採用した一番売りになる特長のあるセールスポイントになる技術(アイデア)が何かです。工夫したアイデア、他社と差別化した独自のアイデアなど出願するとすればこうした技術というアイデアを洗い出します。

そして、夫々のアイデアごとに技術要素に分解して、この知的財産の基礎知識NO.42に示した公知例調査の手法と同様に個別の発明の有無を調べます。

 また、採用している技術に近い特許が発見された場合には、権利の範囲を詳細に検討し、権利範囲に入るものかどうかを確認することが求められます。権利の範囲の解釈には、知的財産の専門知識が必要になりますので、開発者だけで独自の判断をせずに、専門家に相談することが大切です。さらに権利が現在も存続しているかどうか、権利を維持するための費用を納付しているかどうかの確認も求められます。

本内容はJPDSから発行された書籍「企業活動と知的財産~なぜ今、知的財産か~」から一部抜粋して知的財産の基礎的な知識をお伝えしています。



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