ブレーン・ストーミングの応用
グループでの討議の定番。グループ討議を進める上で大切な基本となる手法、長年多くの企業や団体で実践されている会議の進め方であるブレーン・ストーミングがあります。
人は何かに刺激されて、ひらめいたり、新たな発想をすることが多いのです。ブレーン・ストーミングは、アイデアとアイデアをぶつけ合って、別のアイデアを誘発する連鎖反応を巻き起こすことが原理です。他人の発言や発想に刺激されて、連鎖的に、あるときは便乗して新たなアイデアを引き出すのです。アイデアの核分裂を起こすとも表現されています。
オズボーンの提唱では、メンバーが出したアイデアは書記役(記録係)がいて、壁に貼り付けた大きな紙(例えば模造紙)に書き出して行くのです。しかし、特に技術開発の分野では発言者の皆さんの発言内容を正確に理解し、明確に表現できる人はさほど多くないでしょう。そうしたベテランや優秀な方を記録係である書記としておくことはもったいないと思います。そこで筆者は独自に先に提案した「アイデア顕在化カード(ラベル)」としてポストイット付箋紙を使うことを提案します。
参加しているメンバー各自が自らの手でアイデアの筆記・記録を分担する方法です。つまりアイデアはポストイット付箋紙である「アイデア顕在化カード(ラベル)」に記載し、アイデアを示し声に出して説明しながら大きな紙に貼り出して行きます。一般的に会議では経験の浅い人はとかく経験者の発言に順番を譲ったり、声の大きな人に優先的な発言が固定される恐れがあります。こうした発想した人が自らのアイデアを記載する方法をとれば、日本人のように奥ゆかしいといわれる人種にも発言の機会が与えられるともいえます。こうして顕在化カード(ラベル)を通して、皆でアイデアを共有化しながら進めるのです。
ここでは、テーマから逸脱していても一向に構いません。何しろ他人の発言から脳が刺激を受けて考え出したアイデアなら、何でもよいのです。役に立たないもの(アイデア)でも何でも、思いついたものを出します。
「ひらめき」を重視し、アイデアの核分裂を自然な形で、どんどん進めてゆきます。アイデアを出している段階での評価は禁物です。
自分で判断し役に立たないと思われるアイデアや、実現が怪しまれるアイデアであっても、そのアイデアがきっかけで、新たな実現可能なアイデアが出るかもしれません。こうしたアイデアでも他のアイデアを誘発する貴重な役割が果たせるのです。「判断の保留」、「量が質を生む」の二大原則を守ることがポイントです。
「自由」と「量」をキーワードにすることを心掛ければ上手く行きます。
通常の打ち合わせでも、否定的な評価発言が議論を衰退させることはよくあります。提言段階での批判は避けることが必須です。
図にブレーン・ストーミングの基本ルールを示しました。
本内容はJPDSから発行された書籍「企業活動と知的財産~なぜ今、知的財産か~」から一部抜粋して知的財産の基礎的な知識をお伝えしています。
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