事業領域の変革を常に意識
どのようなビジネスでも、栄枯盛衰があります。苦労して新しいビジネスを立ち上げ、大きなマーケットに支えられ収益をもたらしていた商品がいつか売上が減少し、収益源で無くなってしまうことは多くの例が示しています。
身近なものでも家庭における娯楽の代表であったラジオがテレビに置き換わり、そのテレビがアナログから地上波ディジタルに変わりハイビジョンの美しいテレビジョン画像を楽しむ時代に変貌するといった例を見てもお分かり頂けるでしょう。このような変化の裏で、ラジオ・テレビ時代に多くの発明をなし、誰もが使わざるを得ない幾多の特許を所有していたアメリカのRCA(Radio Corporation of America)社は、現在は姿を消してフランスのトムソン社に吸収されてしまったといったケースが一つの例でしょう。
一方、MAC(マッキントッシュ)コンピュータで有名になったアップルコンピュータ社は、パーソナルコンピュータから変貌をとげ、MPEG3の圧縮技術を基本とした音楽プレイヤーであるiPodに始まり、音楽や映像をネットで販売するビジネスを展開するまでに至りました。アップルはiPhoneで携帯電話機の世界に進出し、iPadで総合的なコミュニケーション手段のマーケットを確立すべく変身を重ね、ついには事業領域の変貌にあわせ社名からコンピュータを取り、アップル社と社名を変更してしまいました。
こうしたビジネスの世界での変貌を先取りすることで、市場を見据えた技術開発を行いたいものです。時代のニーズをいち早く掴み、有効な知的財産権を取得することができる手法があります。時代先取り型の新商品のイメージを作成し、結果として新たな知的財産を生み出してゆくのです。特に今後の商品の新たな課題を見出すことで、新たな発明を生み出し、新製品を提供することを目的にしています。
統合発想法と名付け、コンピュータシステム開発の観点と機能展開手法をと入れた時代先取り型の考え方です。
新ビジネスの創造と特許の技術思想化を実現する方法です。次回(NO.59からNO.62)で概要を順次ご紹介します。
本内容はJPDSから発行された書籍「企業活動と知的財産~なぜ今、知的財産か~」から一部抜粋して知的財産の基礎的な知識をお伝えしています。
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