目的や課題の展開
ここでは、日常使っているもので、いまさら定義を考えるまでも無いと思えるものでも、何のために、目的は何かと考えてゆくことで、上位の定義を見つけ出すことができることを示した例を掲げました。
「初めの定義」は、誰でも初めに思いつく定義です。それを何段階か上位に展開していくと「中間定義」が出てきます。そしてさらに上位の目的を考えてみると「再定義」に至るのです。
どのようなものであっても必ず目的の再定義ができますので、チャレンジしてみてください。この新たな定義が、発明の目的や課題に繋がります。したがって従来から常識として考えられてきた商品なり、サービスの目的を考え直すことで、観点が変わり、新たな課題が発見できます。多くの技術者は、課題が新たに提示されることで、アイデアが数多く出てきます。
統合発想法の原型を提唱した際に、筆者らが一番初めに実際に役立つ発想法として実証すべくトライした結果生まれた発明がありますのでご紹介します。
皆さんが買い物をする際に、購入金額に比例して、サービスポイントが付けられることが多いと思います。インターネットなどで買い物をする際に○○さんのポイントは現在何ポイントですと掲出されます。この商取引に先だって、顧客を認定して、現在のポイント数を示すアイデアが統合発想法を適用した発明の第一号です。特許第3261201号他として登録されています。
現在は普通に行われている複数のポイントサービスの間で一定の割合でポイントを交換できるサービスのアイデアも権利化されています。
最近の世の中で盛んに行われている機能について時代を先取りして創出することができました。誰がやってもそのようになるという当然の帰結は、世の中で初めて要求機能や目的に遭遇すれば、誰でも考えうるのです。
この発明は、その後出願された相当数の出願の拒絶理由に引用されたことでも時代の先取りをしていたことが分かります。
この統合発想法を、もっと詳しく実践する際には、下記の書籍(現在は電子版のみ)をご参照ください。
『身近なアイデアを「特許」に変える発想塾』〔講談社+α新書〕
(重田暁彦 著)2009年発行
本内容はJPDSから発行された書籍「企業活動と知的財産~なぜ今、知的財産か~」から一部抜粋して知的財産の基礎的な知識をお伝えしています。
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