Vol.9|知的財産戦略の総合サポート

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知的財産ってなに

 知的財産の種類と範囲を図に示しました。知的財産に含まれるものは、大きく分けると「産業財産権(工業所有権)」と、「著作権」があります。  

 産業財産権(工業所有権)は、1883年に作られた「工業所有権の保護に関するパリ条約」(パリ条約)に保護の対象が示されています。パリ条約では、「工業所有権の保護は、特許、実用新案、意匠、商標、サービス・マーク、商号、原産地表示又は原産地名称及び不正競争の防止に関するものとする。」とあります。

 この内の産業財産権は、大きく分けると「知的創作物」と「営業標識」に分かれます。

 第一の「知的創作物」は、人が頭で考えた知恵自体または知恵を実現する方法や実現した物「知的創作物」を保護する権利です。これには技術的なアイデア(技術思想)を保護する「特許権」、「実用新案権」さらに製品などの外見的なデザインを保護する「意匠権」があります。他には半導体の集積回路などの電気的な部品の回路配置を保護する「回路配置利用権」(半導体集積回路の回路配置に関する法律)、企業などで追及された製造方法、材料の混合割合などの技術的な秘密事項であるノウハウを保護する「トレードシークレット」(不正競争防止法)、樹木や草花などの新しい品種の創作を保護する「植物新品種保護権」(種苗法)があります。

知的財産とは

 第二の「営業標識」は、人や組織が、ある程度の時間をかけて醸成した顧客に対する信用ともいえる営業標識を保護する権利です。営業活動や良い製品、サービスの提供などで培ったブランド力を保護する「商標権」、会社の商号などがあります。また、消費者が誤って購入することが無いよう原産地を表示できる権利もあります。これはボルドー産のワインなど著名な原産地を保護し、他の産地で生産されたモノに異なる産地を表示することを禁止する原産地表示などの権利(不正競争防止法)が営業標識として保護の対象になります。

 他方の著作権は、1952年にジュネーブで作成された、著作権の保護に関する国際条約である「万国著作権条約」(著作権条約)に保護の対象が示されています。「文書、音楽の著作物、演劇用の著作物、映画の著作物、絵画、版画及び彫刻を含む文学的、学術的及び美術的著作物についての著作者、その他の著作権者の権利の十分かつ有効な保護を確保するため」として著作権の範囲が、著作権条約で定義されています。

 この条約を受けて、著作権法では、著作物は「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と定義されています。そして、著作物を実演、録音、公衆送信、映画、プログラム表現する行為、さらにはこれらを複製、再生、上映、上演、頒布などの行為を著作権者の許可なく行うことを禁止しています。翻訳、編集、編曲などの二次的な著作物の作成も、著作者の許可なしではできない権利が著作権です。つまり、他人が創作したものを、そのまま真似したり、翻案することが禁止されます。

本内容はJPDSから発行された書籍「企業活動と知的財産~なぜ今、知的財産か~」から一部抜粋して知的財産の基礎的な知識をお伝えしています。



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