特許調査の方法 ~特許調査の見える化~ 第4回
5. 予定範囲の調査後に確認すべきこと
調査対象の公報の確認中、想定外のキーワードや特許分類を持つ公報が多く出た時、当初に決めた調査範囲を広げることが必要と判断することがある。
また、無効化調査等では、当初の範囲を調査して、有力な公報が見つからないときなど、調査範囲を広げる必要が出るかもしれない。
このようなとき、闇雲に追加の調査をするのでなく、当初決めた調査観点や調査方針を再度確認し、どこを追加調査するか検討することで、費用対効果を考慮した適切な追加調査が可能となる。
調査対象公報の査読で多数発見
・検索式にないケース
・検索式にあるが不十分なケース
調査観点や調査方針の概念を形成する要素にマッピング
追加調査の調査方針を作成
追加調査の検索式
6. 調査結果報告での調査観点の活用
抽出公報を調査観点と対比することで、抽出の適切性、理由が明らかにできます。
各公報が、調査観点の構成要素との一致点、不一致点を明らかにした判定を記載できる。
⇒抽出時の曖昧さや誤りを防止する。
⇒依頼者にも、なぜ、その文献を抽出したか、しなかったかの根拠を明確に説明。
7. まとめ
「特許調査のみえる化」を実施することで以下のことが実現されます。
調査すべき内容について当事者間で理解のずれを防止
調査観点として何を調査するのか明確になる。調査結果についても、調査観点との関係が説明されるので、報告内容にも理解のずれはなくなる。
調査に使用する特許分類やキーワードの出所が明確
使用する特許分類やキーワードはすべて調査観点から作成した概念に明確な対応関係を維持されます。
調査する範囲が調査方針として明確に表現
常に調査方針を意識した検索式の作成がなされるので、調査対象をどのように調査したか(調査方針)の的確さを明確に説明できます。
調査対象件数(費用)を考慮した調査の実現
調査対象件数(費用)の削減は、調査方針を明確に説明できる形で、実施していくことが可能。
追加調査も費用対効果を意識して実施
調査完了後、プラスの費用をかけてでも実施したいというニーズがあっても、調査観点から作成した調査方針があるので、どこを強化すべきか、理論的に強化ポイントを提示でき、その時の件数(費用)も提示できるので、効果と見比べた判断ができます。
8. おわりに
ここで紹介したように、「特許調査を見える化」し、調査の当事者間で何をどう調査するかを共有することで、調査の優先度の高い部分を逃さない適切な調査範囲を規定することが可能です。
また、調査件数(費用)を削減すれば、調査漏れのリスクは増大しますが、弊社の調査サービスではこうしたリスクをできるだけ少なくし、且つ適切な調査範囲を設定して迅速に調査することを目指しています。
尚、特許調査は、目的に完全に合致した情報がない可能性がある中で実施する作業であるため、私たちは目的の情報を早く見つけるだけなく、調査した範囲を当事者間で正しく認識できることが重要と考えます。
弊社の調査サービスにご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
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