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調査方針の作成方法(検索式の作成) 第1回

はじめに

2022年9月

日本パテントデータサービス株式会社調査部

嵯峨喜次(知的財産アナリスト(特許))

 

「特許調査方法について~特許調査の見える化~」では、調査方針の作成方法の概略を示しましたが、本説明では、より具体的、詳細に調査観点から調査方針を作成して、検索式を作るまでの作業のノウハウを示します。

 

本説明の内容は、「新しく調査に取り組むときにも活用できる汎用的な方法」として、適切な調査範囲を、限られた予算で調査を実現することに重きを置いています。既に何度も調査を実施している分野では、よりシンプルな短い式で調査範囲を決定したいこともニーズとしてあると考えますが、そのようなやり方でも考え方は適用でき、既知の知識から割り切れるところを省けば良く、広く活用可能な内容です。

 

また、本説明は、調査対象国に依存せず活用できる形で記載していますが、実例では一部、日本語または英語公報での例を記載しているものもあります。尚、調査の種類(先行技術調査、侵害回避調査、無効化調査、技術動向分析など)の違いにより、力を入れるべき点が異なったり、個別に考慮すべき点もありますが、本説明では、共通的に言える部分を抜粋しています。

 

※弊社の調査サービスにご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

1.調査方針とは

調査方針は、調査観点(何を調査するか)から、どの範囲をどう調査するかを具体化したものです。調査観点の構成要素、効果、技術分野をキーワードと特許分類で規定して、これらの積から、調査範囲を規定して、検索式に落とし込む方針を示すものです。

 

調査観点

調査観点の構成要素、効果、技術分野をキーワードと特許分類で概念を表現

概念の積の組合せで、調査範囲を表現し、検索式に落とし込む

調査範囲を明確にしながら、目的の件数(費用)に近づける

 

検索式は調査観点にある概念の組合せから形成する

・使用した用語や分類の出所が明確で調査範囲が明確

・調査件数を削減しても、調査範囲の明確さは維持

・調査範囲の漏れや不要箇所の確認がしやすい

・追加や補完調査の方針も立てやすい

 

2. 調査方針決定作業の全体像

調査方針を決定する作業は、以下の手順で実施します。

 

調査観点の各要素を特定し、複数の概念として定義する

調査方針仮説を立てる

①概念をキーワードと特許分類で表現する

 

②概念の組み合わせで調査範囲を作成する

検索式によりブラッシュアップ

調査方針の仮説から検索式を作成し、漏れの可能性と件数(費用)との妥協点を探す

調査方針最終形

最終的な妥協点が必要要件を満たすか検証

 

調査方針の仮説を作成と検索式作成を繰り返して、漏れの可能性の少ない適切な件数を見つける

調査方針によって調査範囲を決めると、目的公報が範囲から漏れる可能性があります。

範囲を広げれば漏れの可能性は減りますが、対象件数(費用)は増大し、範囲を狭めればその逆になります。

そのため、仮説の作成と検索式作成を繰り返して、最終的な妥協点を見つけます。

 

3.本方式採用のメリット

ここで紹介する方法により調査方針を作成して検索式を作成することで、以下のことが実現されます。

 

調査に使用する特許分類やキーワードの出所が明確

使用する特許分類やキーワードはすべて調査観点(何を調査するか)から作成した概念に対して、明確な対応関係が維持できます。

調査する範囲が調査方針として明確に表現

常に調査方針を意識した検索式の作成がなされるので、調査対象をどのように調査したか(調査方針)の的確さを明確に説明できます。

調査対象件数(費用)を考慮した調査の実現

出現の可能性が高い箇所を漏らさず調査範囲内の限定に対しての補完を実施することで、調査の的確性を崩さず、件数(費用)に応じた調査範囲を提案できます。

追加調査も費用対効果を意識して実施

調査完了後に追加の費用をかけてすら実施したいというニーズがあった場合でも、調査方針があるので、どこを強化すべきか理論的に強化ポイントを提示でき、その時の件数(費用)も提示できるので、効果的な判断ができます。

 

本方式を採用することで、特許調査の種類(先行技術調査、侵害回避調査、無効化調査、技術動向分析等)や対象国に関わらず、費用対効果を考慮にいれた上で、的確な調査を実現できるようになります。

 

 

※弊社の調査サービスにご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

 

 

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