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調査の種類別調査観点の整理 第1回

はじめに

2022年10月

日本パテントデータサービス株式会社調査部

嵯峨喜次(知的財産アナリスト(特許))

 

「特許調査方法について~特許調査の見える化~」として、調査の種類により、調査観点のまとめ方に違いがあることを示したが、その詳細を説明します。

また、無効化調査のような、本来、調査観点をまとめる必要のないような調査であっても調査観点の整理が活用できる方法についても説明します。

 

※弊社の調査サービスにご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

1.先行技術調査(出願前)

1-1. 先行技術調査での調査観点作成の注意点

 

従来技術との違いを課題(目的・効果)として明確化
  • 先行技術調査(出願前)は、特許出願のための調査であり、特許に求められる新規性や進歩性を明確にすることが必要。
  • 発明と従来技術との違いを「課題(目的・効果)」として整理すれば、新規性や進歩性を明らかにできる。
  • ひとつの発明はひとつの「課題(目的・効果)」と対応するので、構成に必須な「構成要素」を整理するのにも利用できる。
 
課題を解決する構成を明確化
  • 「課題(目的・効果)」を達成する最低限度必要な「構成要素」の組み合わせを明確化する。
  • あった方が良いが必須でないものは、調査の結果、最低限度必要な「構成要素」の組み合わせに新規性や進歩性が認められれば、従属項として付け加えればよい。
  • 最低限度必要な「構成要素」の組み合わせにより、発明を正確に特定することができる。

1-2. 調査方針の整理

先行技術調査は、できるだけ低予算で実施することが必要です。

このため、調査観点の整理は実施するべきですが、文書化までは実施せず、検索式でのみの表現でも良いと考えます。

2. 侵害回避調査

2-1. 観点を選定するための目安となる抽出の観点

製品のエンハンス項目

これまで世に出した製品の技術でも他者の権利に合致することもあるが、これから世に出す技術の方が可能性は高い。

カタログやセールスポイント

宣伝等で情報発信されるので、人の目に触れる機会が多い。

製品の形状や使用、分解により、明らかになるもの

人の目に触れやすく、また、製品を実際に購入すれば、使ったり分解したりして実施を確認できる。

ユーザ・インターフェース

製品を分解したり、処理を解析しなくとも容易に分かる。

製品のマニュアル・製品関連の技術論文等の文書記載事項

製品を買えば判断できる。また、製品に関連する技術を論文等で発表している場合に注意が必要なケースもあります。

製品のコア技術や回避できない技術

上記1~5に該当しない、内部処理などの技術で実施していることが容易に分からない技術でも、製品に適用されたコア技術やエンハンスの目玉となる技術など、もし実施が判明したら代替え方法がないような技術。

他者の権利に抵触した場合のダメージが大きい。

新しい技術だけに限らない

既に世に出ている製品で実施されていても、製品を製造・販売している会社が権利を持っていたり、他社から許諾を受けている可能性があります。新技術でなくとも、自社で新規に実施する際は注意が必要。特に競合他社が既に実施している内容であれば一層注意が必要です。

調査すべき技術の効果・構成をできるだけ具体的にすること

上位概念が権利化できなくとも下位概念が上位概念にない「課題(目的・効果)」が説明できれば権利化の可能性があるため、調査対象の自社製品の技術の「構成」を具体的にすることが望ましい。尚、調査では、上位概念を含めて権利化されていないかを特定します。

 

 

※弊社の調査サービスにご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

 

 

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