調査の種類別調査観点の整理 第2回
3.技術動向調査
3-1. 技術動向調査(事例収集)での調査観点作成の注意点
技術動向調査(事例収集)でも「調査観点」を整理するが、
同時に以下の点も明確にしながら、調査観点を整理する必要があります。
実施調査はマクロかミクロか
事例を集めることが目的のため、多数の事例が該当する内容とする必要がある。「適用技術分野」「課題(目的・効果)」「構成」の形式を取らないケースもあり。
(例)ブロックチェーンの産業での利用技術、画像処理でのAIの利用方法
漏れについての考え方の明確化
広い分野を調査対象にする場合、明確な調査観点を規定しにくく、漏れが発生する可能性がある。
漏れを許容するのか、特定のケースの漏れは少ないことを望むかなど、漏れについての考え方を整理することが必要。
分類軸・分類項目の明確化
ただ単に公報を抽出するだけでなく、公報を分類するケースはできるだけ分類軸を具体化した方が求める結果を得やすい。
(例)産業別に利用技術を整理
公報上の内容により、1、2,3次産業で分類し、50件を超える場合は細分化する。
但し、製造業については、自動車、電子機器、鉄鋼業は、分類するなど。
4. 無効化調査
4-1. 無効化・有効性調査での調査観点作成の注意点
以下の理由より、無効化/有効性調査は、対象となる請求項から「構成」を、明細書から「関連技術分野」「課題(目的・効果)」を整理して調査をした方が良い。
但し、抽出公報の対比は対象特許公報の請求項と実施します。
請求項の骨子を整理する
請求項は正確性を担保するために言葉の繰り返しが多く、冗長な内容となっているケースも多い。
「調査観点」として整理することで、対象公報の対象請求項の技術の骨子を明確にし、調査する技術をしっかりと理解できる。
調査方針、検索式の作成の助けとなる
調査対象の技術が、構成する骨子となる用語や重要な構成要素が簡潔な形で整理されるので、調査方針を立てたり、検索式作成のためのキーワードや特許分類の特定がやりやすくなる。
抽出公報の一次抽出の助け
簡潔な文章で抽出対象を理解できるので、抽出段階での該当箇所の整理がしやすく、抽出の漏れを防ぐことが可能。但し、最終的な特定は請求項との一致性を厳密に実施することが必要なので、「調査観点」でなく請求項との対比を実施することが必要。
4-2. 事例
請求項
利用者端末から配信要求を受け付け、受け付けたコンテンツをネットワークを介して利用者端末へ配信するコンテンツ配信装置において、各利用者端末へ配信したコンテンツの同時配信数をコンテンツ名毎に記録する配信数記憶手段と前記同時配信数が所定の閾値を超えたコンテンツ名を抽出し、規制候補リストに登録する規制候補コンテンツ抽出手段と、コンテンツ総配信量に係る変数が、所定の規制開始閾値を超えたことを検出したとき、前記規制候補リストに登録されたコンテンツ名の配信要求に対して、配信を拒絶するコンテンツ配信処理手段とを備えたことを特徴とするコンテンツ配信装置。
調査観点
(関連技術分野)
コンテンツ配信
(目的)
一部のコンテンツへの配信集中時、他のコンテンツの配信枠を維持する。
(構成)
- 総同時配信数が閾値を超えた時
- 個別同時配信数が閾値を超えた
- コンテンツの配信要求を拒絶する。
骨子のみだと内容がシンプル
最終的に、請求項の記載全てに一致するものを探す必要はありますが、調査では少なくとも上記構成の発見は必須です。
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