特許分類やキーワードの調査方法 第1回
はじめに
2022年11月
日本パテントデータサービス株式会社調査部
嵯峨喜次(知的財産アナリスト(特許))
調査のために検索式を作成するには、調査対象である概念に対応する特許分類やキーワードを特定していく必要があります。様々な方法はあると思いますが、JP-NETやWebサイトなどを利用した具体的な探し方について記載します。
本説明では主にJP-NET/NewCSSを用いて説明します。
1.概念候補から特許分類を抽出
使用する特許分類の手掛かりを概念の候補から得る方法としては、以下のような方法が考えられます。
特許分類の統計情報を利用
公報に付与されている分類の確認
分類情報のキーワード検索
特許分類の上位概念からの確認
上記のような方法で集めた特許分類の中から、概念候補を表現している特許分類を特定します。
1-1. 特許分類の統計情報を利用
限られた範囲でキーワードの積や近傍検索を実施して公報を絞り込み、そこで付与されている特許分類を集計し、結果の上位から適切な分類のあたりをつけます。
以下はJP-NET/NewCSSのJP-MAPオプション「特許分類統計」の利用例です。
(例) 「ATMでの認証」に関する特許分類の分布を知る。
①発明の名称・要約・請求項の範囲で「ATM」と「認証」の積を取る
②「パテントマップ」→「特許分類統計」でFIをサブクラス単位で集計
- G06F、G06Q、G07D、G07F辺りに有りそう。
- H04L、H04Qの集中は「ATM交換機」に関するもので、おそらく別のもの。
- G07Dは「コインまたは有価紙葉の取扱い」で特に近そう
- G06Q20に「支払アーキテクチャ,スキーム,またはプロトコル」があり、関連ありそう。
③ ①の検索式をG06Qが付与されているものに絞り「分冊番号」までの集計を実施
- G06Q 20/40(・・認証)がある。
- G07F、G07D配下の分類も上位にあり、これらの分類も関連性がある。
- G06F配下の分類は旧分類で、現在はG06Q配下にあるもの。
- G07D 11/00 341A、G07D 9/00 461A(本人照合)も近いが、最新の分類では廃止になっている。
④ ③で見つけた分類は、そのまますぐに使用可能と判断するのではなく、
「詳細」にて分類体系を確認した上で判断する。
1-2. 公報に付与されている分類の確認
既知の公報に付与されている特許分類を確認して、得たい分類を推定します。この場合、単に付与されている分類を採用するのではなく、なぜその分類が付与されているのかを考え、特許分類の体系を調べつつ採用するかどうか決定します。
例)特許分類から「ATM」に関する特許分類を抽出。
① 公報表示の中の特許分類の内容を確認
② 詳細をクリックして分類体系の詳細を確認
JP-NET/NewCSSでは「G07D 11/00 131C」をクリックすると説明が表示され、「ATM」に関するものであることがわかる。「詳細」をクリックし、分類体系を確認し採用するか決定する。
(最新分類では廃止されているが、付与されている公報があることがわかる。)
1-3. 分類情報のキーワード検索
特許分類の説明部分をキーワード検索することで、必要な特許分類のあたりをつけます。
「ガイダンス」→「FI」(JP-NETのメニュー)で「認証」を検索
- 最初にヒットした「A63F 13/71」はゲームに関するもので、調査対象に含まれなければ関係なし。
- 「G06Q 20/40」は、「例.支払人または受取人の識別,顧客」の記載があり、ATMでの認証に関係あるかもしれない。
1-4. 特許分類の上位概念からの確認
特許分類の上位の概念から見ていき、目的の記載を確認します。その際、上位の分類や周りの分類を確認して適切かどうかを判断します。
「ガイダンス」→「FI」で「G07F」を「ATM」に関連する特許分類を調査
- G07F7/08(IDカード又は 」の配下Pに「ATMまたはCD」とあり、探そうとしているものに近い。
- G07F 19/00に例としてATMが挙げられている。また、この説明にG06Q40/02は銀行業務のためのデータ処理装置として記載されており、G06Q40/02配下の装置にATMは属さないことがわかる。
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