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特許分類やキーワードの調査方法 第3回

 

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3.特許分類やキーワードの調査でわかるその他のこと

特許分類やキーワードのバリエーションを調べることで、単に検索式で使う特許分類や類語を知るだけでなく調査方針や調査範囲を絞り込む上で重要な情報を得ることができます。

色々なケースがあるとは思いますが、いくつかの代表的事例を示します。

 

技術の分布範囲を知る
調査での特定の手がかりを得る
ノイズの可能性を知る

3-1. 技術の分布範囲を知る

目的の技術に一致する特許分類があったとしても、その技術が全てその特許分類で表現されているとは限りません。間違った想定をして特許分類で調査範囲を絞り込むと重要な特許が漏れる可能性があります。

これを防ぐためには 1-1で紹介した特許分類の統計情報が有効です。単に分類の分布を見るだけなく、なぜその分類が付与されているかを調査・推定をすることが重要です。

 

(例) 深層学習

2022年8月の段階で「深層学習」というキーワードを請求項までに持つ公報の発行件数が1,000を超えますが、FIのサブクラスで特許分類の集計をすると以下のようになります。

 

G06T  354件

G06N  307件

G06F  178件

A61B  146件

G01N    89件

G06Q    82件

 

深層学習が分類される特許分類は一般にはG06N配下と思えますが、実際にはG06T(イメージ)の方が多く、G06F(計算機関連の技術)、A61B(医療)、G01N(測定)、G06Q(ビジネス)側の分類が多く、深層学習を利用する側の技術で分類されていることがわかります。

 

さらに、G06T配下(354件)を分冊識別記号まで見ると

 

G06T7/00 350C  200件

G06T7/00 612    76件

G06T7/00 350B    52件

G06T7/00 610      40件

G06T7/00 650      34件

G06T7/00 630      16件

 

となっており、大半がG06T7(イメージ分析)配下であり、「350C」や「350B」など深層学習や機械学習に関連する分類があること、「612」「610」「650」など利用分野の分類が付与されていることがわかります。

 

以上のことから「深層学習」をテーマにした特許の調査では、

①G06N以外にも「深層学習」を意味する特許分類が利用分野にあり、これらの有無を調べる必要がある。

②利用分野の特許分類では「深層学習」を意味する特許分類がないケースがあり、それらのもので「深層学習」と言う概念を特定するならキーワードを使用する必要がある。

ことがわかります。

 

3-2. 調査での特定の手がかりを得る

新しい技術はその技術が発生した当時は名前がなく、その技術が世の中に認められ確立される段階で初めて定まった名称が付与されることになります。そのため、新技術そのものやその周辺のコア技術は、直接的な名称のない段階で申請される可能性が大きく、公報にはその技術を直接的に示唆するキーワードがつけられることは少なく、ましてやそのものずばりの特許分類も付与されていない可能性があります。このようなケースでは「2-1. 概念から、類語や違う表現方法を取得」が有効ですが、その応用としてその技術のもたらす効果や技術分野などほかの部分に着目して調査範囲を設けることも有用なケースもあります。

 

(例)GAN(敵対的生成ネットワーク)

GANは深層学習の中でも比較的新しい技術です。特定方法としては、

①GANなどの技術そのものの名称

②構成物である「Generator」「Discriminator」による特定

などが考えられますが、その目的のひとつである「できるだけ似たニセ画像を作成する深層学習(人工知能)の技術」として特定することも有用である可能性があります。

 

このように「技術の名称」「構成物」以外のことに着目することも方法として考えられます。また、上記は効果に着目した例ですが、例えば適用する技術分野が限られる場合、その技術分野の「深層学習」や「機械学習」に関連する公報全体を調査範囲にすることができるケースもあるかと思われます。

3-3. ノイズの可能性を知る

キーワードを使用する場合ノイズはつきものですが、ノイズだらけのキーワードも工夫の仕方によっては重要な技術を特定することが可能です。「2-3. 公報における表現を利用」や「1-1. 特許分類の統計情報を利用」により、ノイズを多く排除することができる可能性があります。

 

英語の略号の特定

2文字や3文字の英語の略号であるVR(仮想現実)、FMC(Fixed-Mobile Convergence)、GAN(敵対的生成ネットワーク)などをそのまま使うと化学分野に多くの公報があるように見えますが、これらはほぼノイズです。従って調査対象のクラス、サブクラスなど大きな範囲で限定することでキーワードとしてノイズを排除できるケースがあります。

他の単語との近傍で有用になるケース

「制御」という単語は一般的で、単独のキーワードによる特定においてはノイズが多く使用できません。しかし通信分野では「トラフィック制御」という技術があり、通信網の輻輳を回避する重要技術となります。ですから「トラフィック」と「制御」の近傍検索で技術を特定できる可能性があります。

“||”記号の使用

監視制御の分野では「ログ」を取ることが技術の特定につながりますが。「プログラム」も特定されてしまいます。JP-NET/NewCSSでは「||ログ||」とすることで「プログラム」というキーワードが排除されます。

 

 

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