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検索式作成時の望ましくない演算 第2回

 

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3.特定内容の異なる特許分類同士の和

発生する問題

統合した公報の集合を他の概念で切り出そうとしても意味のある集合が得られなくなり、何を調査しているのかわからなくなる。

問題となる理由

異なる概念を示す特許分類を持つ公報を同じ集合にしており、「いくつかの概念を表す集合同士の演算」によって調査対象の公報を絞り込むと言う検索式の作成の目的に反している。

本来のあり方
  1. 特定内容の異なる特許分類同士の和は原則やってはならない。
  2. 但し、キーワードにノイズが多く含まれるので、そのノイズを少なくするため大きな範囲(メイングループ以上)の和集合を作り、それとキーワードの積をとることはありうる。
  3. 同種の概念を特定する特許分類同士の和はありうる。


例)キャッシュデスペンサでの認証で生体画像を使用するものを調査したい。

<望ましくない調査手法>

「キャッシュディスペンサ」「認証」「画像解析」に関する特許分類をかき集め、それらの和を取って母集合としその中を調査する。

「生体」と言うキーワードとの積を考えると積には以下の概念を持つ公報が混在。

 ①「キャッシュディスペンサ」と「生体」

 ②「認証」と「生体」

 ③「画像解析」と「生体」

 
⇒母集合をキーワードなどの積で細分化しても、初めに一緒にした概念を切り離せない。
 原因は、意味のない集合の和を実施したこと。このような検索式では、何を調査したのか明確に説明できず調査の意味をなさなくなる。
 
特定内容の異なる特許分類同士の和 
 
 
<望ましい調査手法>

「キャッシュディスペンサ」「認証」「画像解析」に関する特許分類を調べ、IPC・FIのクラスレベルの特許分類を特定し、その和集合を取った。

この和集合の範囲とキーワードの積を取ってから、さらにキーワードや詳細の特許分類を使用して調査範囲を特定していった。

 
⇒キーワードのノイズを軽減し、公報の調査範囲も制限しない適切な調査ができた。
 

 

4.特定内容が類似している特許分類とキーワードの積

発生する問題

特許分類で既に概念を特定しているのに、その中をさらにキーワードで限定しても範囲が狭まるだけで意味のある集合ではない。

問題となる理由

特許分類でその概念を特定しているにも関わらず、その中の集合を減らしているだけで演算の意味がない。

本来のあり方

特許分類とキーワードの和の部分を「概念」に対応する公報の範囲とするか、特許分類のみにして狭く解釈するならば意味はある。

 

<特定内容が類似している特許分類とキーワードを掛け合わせた場合のイメージ図>

 

特定内容が類似している特許分類とキーワードを掛け合わせた場合のイメージ図

 

※重なっている水色の部分の限定は意味のある集合とは言えない。

 (機械学習と言う概念を表すなら、特許分類の範囲か特許分類とキーワードの和の範囲とすべき)

5.囲い込み検索

発生する問題

調査対象の漏れや意味のない限定が多数の箇所で発生する。

問題となる理由

「特定内容の異なる特許分類同士の和」や「特定内容が類似している特許分類とキーワードの積」が検索式の多数の部分に多発してしまうため、それぞれで発生する問題が多数発生してしまう。

本来のあり方

特許分類での囲い込みとして許されるのは、キーワードのノイズを取る目的のときのみ。その場合、調査対象の公報が含まれる可能性がある特許分類をできるだけ広くとり、ノイズの可能性が大きい範囲のみを排除するような特許分類の採用が望ましい。

事例

3項、4項の事例が調査全体に発生する。すなわち、意味のない調査になってしまい、調査結果を補完したり、追加調査をしようとしても、なにを調査して良いかわからない状態になるため、このような方法を取ってはならない。

 

<囲い込み検索のイメージ図>

 

囲い込み検索のイメージ図

 

  • 「キャッシュデスペンサ」のキーワードの範囲は「キャッシュデスペンサ」の特許分類の中を限定しているものがある。
  • 「認証」のキーワードの範囲には「認証」の特許分類を限定しているものがある。
  • キーワードで分類している範囲は、概念の異なる特許分類の和の範囲。

⇒すべての調査範囲が何を限定した範囲が示すことができず、調査の意味がない。

 

 

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