公報速読術 第2回
3.公報の確認について
出願人ごとの確認
同じ出願人の同じ技術の公報であれば、用語や図などが共通化されていることが多い。難解な特許でも、2件目は1件目ほど時間もかからないので確認も楽になる。
確認用検索式のキーワードや特許分類を意識した確認
切り出しに使った検索式のキーワードや特許分類により、重点的に確認すべき技術や用語が絞られるので、それに重点を置く確認により記載を見逃さず効率的に確認して行く。
3-1. 出願人によるソート(事例)
10~50件に分割した確認単位を「出願人」でソートすると、同一出願人の類似技術に関する公報が並ぶ可能性が大きいので、確認しやすい。
3-2. 公報画面の表示(事例)
画面上、キーワードの色反転や存在数の表示、検索機能などがあるので全キーワードを含む式から切り出せば、公報のどこに関連キーワードがあるか見落としなく確認できる。
4.確認中の抽出用検索式の追加・見直し
公報確認を何件かこなしていく中で、以下のような事項を発見することは多いと思われます。そのような場合は、確認中の調査単位が終わった段階で、先に切り出して確認すると、以降の確認の能率が上がります。
そのキーワードが発見されたら、ほぼ確認対象から外せるもの
例)調査で抽出したいのは、「静止画の画像分析」であったが、調査対象は「動画の画像分析」も多く含まれる。
⇒「動画」「アニメーション」などのキーワード(類語も含む)を請求項までに記載されている公報を
先行して確認し、以降の調査のノイズを取り除く。
調査用検索式にないキーワードで注目しなければならないと感じたキーワード
例)「拡張現実」関連の侵害回避調査をしていたら、「カメラ画像に重畳表示」という表現が多く見受けられる。
⇒ 「カメラ画像に重畳表示」を近傍検索で特定し、キーワード「拡張現実」と同じ優先度とするよう検索式を追加する。
有力な公報を先に見つけられる可能性を、より高めることができ調査の効率アップにつながる。
5.掲載した公報確認方法のメリット(まとめ)
集中度を切らさない確認の実現
少量の公報の確認が確認単位となるため。
確度が高いと思ったものから確認するので、調査精度を上げられる
調査の有効性が早く判断でき、必要な軌道修正も早い段階で可能。
調査対象を抽出した後の集合から調査対象を切り出すので、抽出に使用したキーワードがすべて強調表示でき、見落としを防止する。
JP-NETでは、検索式で使用したキーワードは色付けされ、存在の有無、公報内の検索も可能であり、見落とす可能性を抑えられる。
類似の公報を一度の確認単位で一緒に確認できる可能性が大きい
確認単位は類似技術が集まる可能性が大きく、且つ、出願人のソートで同一出願人の公報を一つの確認単位で確認(用語や図表の使い方が共通)することで、類似の用語を使用した類似の技術を一度に確認でき、早い理解が可能になる。
後の確認単位で公報に出現する言葉の解釈ミスに気づいたとしても、確認箇所を絞れる可能性が大きい
特許分類やキーワードで小さな単位に分割されているので、ある概念の解釈を誤った時でもその概念を特定している確認単位が気付きやすい。
ノイズを含む公報を先に確認することによる調査の能率のアップ
確認対象の公報にノイズが含まれていると、都度ノイズかどうかの判断をしながらの確認をしなくても済むようになり、確認が能率的に実施できる。
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