無効化調査のポイント 第1回
はじめに
2023年3月
日本パテントデータサービス株式会社調査部
嵯峨喜次(知的財産アナリスト(特許))
無効化調査は、特許庁の審査を通過した特許に対して無効資料を見つけるための調査です。一度特許庁で調査したものに対しての調査であるので、通常の調査に加え異なる観点での調査が有効なケースもあります。
ここでは無効化調査で特にフォーカスを当てた調査方法について記載します。
1.無効化調査の特異な考慮点
無効化調査は、既に特許庁での審査を経て権利化された特許に対して、新しく無効資料を見つけるための調査です。
無効化調査で効果のある調査方法
- 引用・被引用のネストへの着目
- 付与されていない特許分類への着目
- 課題/目的/効果への着目
- 実施例に着目
- 調査で見つけたキーワードや分類に注目
特許庁の調査結果を確認した上で、既に一度調査を実施したにも関わらず権利化を阻害している資料が見つかっていないという事実を踏まえて調査を実施することが有効です。
2.引用・被引用のネストへの着目
対象公報の審査官引用は拒絶理由通知に用いられている可能性もあり、類似の技術でもあるため、何世代かのネストを追うことで効率的に類似技術の集合を得られる可能性があります。
対象公報から3世代の引用・被引用のネスト
引用・被引用のネストへ着目することにより、調査対象の技術で使っている構成要素の表現方法や特許分類の傾向を知れるばかりでなく、無効資料自体を得られることがあります。
3.付与されていない特許分類への着目
例) 銀行ATMの使用者の認証に関わる特許
G06F21/30配下は対象公報には付与されていないが、
公報の記載内容が一般的なコンピュータでも当てはまる請求範囲なら、
G06F21/30配下も調査対象に入れる価値がある。
対象特許の公報に付与されておらず、その分野の技術が分類される可能性が高い特許分類があるなら、
特許庁の調査でその分類が示す分野は調査されていないので、無効資料が見つかる可能性があります。
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