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特許調査・分析事例 -小型電動モビリティ関連特許の分析-

日本パテントデータサービスの分析サービスのサンプルを掲載しています。

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目的

自転車イメージ

近年、街中で電動アシスト自転車をよく見かけるようになりました。また、電動キックボードに関しては、法改正が進み、今後の普及が見込まれています。

これら小型電動モビリティについては、普及が始まったばかりなので、今後も技術開発があると思われます。

 

そこで、これら小型電動モビリティに関し、過去の特許/実用新案出願の調査を行い、技術動向を分析することとしました。

 

調査範囲

用途として、以下3種類の記載のある小型電動モビリティを調査対象としました

  • 電動キックボード
  • 電動自転車
  • 電動バイク


日本の特許/実用新案(1971年以降発行分)の中から、次に示す検索条件で絞り込みました

  • 【発明の名称】【要約】【特許請求の範囲】【技術分野】に、「電動/電気」の後に小型モビリティ関連のワード(キックボード、自転車、バイク 等)が記載されている(10文字以内)
  • 特に関連するFI分類(A63C17/12、B62M6/40)
→ 該当件数:5,431 

 

用途別推移

全文中に含まれている語句と目視選別で、次の5種類に分類しました

  • キックボード
  • 自転車
  • バイク
  • 重複:上記3種類のうち、複数種類に該当
  • その他:上記3種類の何れにも該当しない

 

用途別推移のグラフ

グラフから、次が読み取れます

  • 1990年頃から増え始め、一旦2002~2009年に落ち込んだものの、年間130件~260件で推移
  • 全体的に自転車が多く、特にピーク(1996年)では200件/年超の出願があった。しかし、近年ではバイクや重複(多用途に使用)も増えて来ている
  • キックボードのみに関する特許/実用新案は少ない

 

出願人別推移(全体)

出願人の上位20社推移

出願人の上位20社推移のグラフ


  • 最も多いのは、ヤマハ発動機であり、本田技研工業、シマノ、三洋電機、・・・と続く
  • 1位のヤマハ発動機は、近年でも多く出願しているが、1991~2001年の方が多い
  • 近年ではシマノが増えてきており、過去10年以内では最も多い
  • パナソニックは、2015年以降の出願が無いが、パナソニックIPマネージメントも含めると、コンスタントに出願している

 

技術分野(FI分類)別推移(全体)

技術分野(付与されているFI分類サブグループ、廃止されたもの除く)の上位20推移

技術分野(FI分類)別推移(全体)


  • 「補助的な電気モータを備えた乗手推進自転車」は、B60M23/02からB62M6/40~6/75に移行( 2010年11月)し、そのどちらかが付与されているものが多い
  • B62「鉄道以外の路面車両」では、推進以外に、B62J9/00「特別の入れ物」、B62J11/00「支持装置」も多い
  • B62以外では、H02J7/00「電池の充電または減極または電池から負荷への電力給電のための回路装置」も多い

 

出願人別推移(キックボード)

用途がキックボードである出願人の上位(累計3件以上)推移

出願人別推移(キックボード)のグラフ


電動キックボード図面特開2023-046680【図1】
  • 全体数が少なく、特定の年に多く出願している出願人はいるが、継続して出願している出願人はいない
  • 国内メーカ以外に、外国メーカや個人での出願も見られるが、特に多くはない

 

技術分野(FI分類)別推移(キックボード)

用途がキックボードである技術分野(FI分類サブグループ、廃止除く)の上位10(10位タイ含む)推移

技術分野(FI分類)別推移(キックボード)のグラフ

 

  • 8割以上に、A63C17/12「ローラスケート;スケートボード/駆動機構を有するもの」が付与されている
  • A63C17/00~17/28「ローラスケート;スケートボード」では、17/12「駆動機構」以外に17/02「二組の車輪配置」、17/01「スケートボード」、 17/14「ブレーキ」、17/26「特別の補助装置」などが付与されている
  • 1993年、2005年、2016年などに多い分類があるが、出願数自体が多く、目立った特徴は見られない

 

出願人別推移(自転車)

用途が自転車である出願人の上位15社推移

出願人別推移(自転車)のグラフ

 

電動自転車図面特開2023-056725【図1】
  • 上位10社は、多少の順位変動はあるものの全体と同じであり、推移も似た傾向にある
  • 直近10年(2013年以降出願)だけで見ると、シマノ、パナソニックIPマネジメント、ヤマハ発動機、ブリヂストンサイクルの順で、実際に電動自転車、または自転車部品を生産しているメーカが並び、その次に太陽誘電が続く

 

技術分野(FI分類)別推移(自転車)

用途が自転車である技術分野(FI分類サブグループ、廃止除く)の上位15推移

技術分野(FI分類)別推移(自転車)のグラフ

 

  • 7割以上に、B62M23/02「二つまたはそれ以上の非類似動力源の使用を特徴とする伝動装置」又はB62M6/40~6/75「補助的な電気モータを備えた乗手推進自転車」が付与されている
  • 前記以外では、B62J9/00「特別の入れ物(例.荷かごまたはサドルバッグ)」、B62J11/00「支持装置(例.地図を取付けるための支持具)」が多い
  • B62「鉄道以外の路面車両」以外では、B60L15/20「所定の駆動を行なうよう車両またはその駆動モータを制御」、H02J7/00「電池の充電または減極または電池から負荷への電力給電のための回路装置」、G01L3/14「回転伝達式動力計/トルク伝達要素がねじりたわみ軸以外」が入っている

 

出願人別推移(バイク)

用途がバイクである出願人の上位15社推移

出願人別推移(バイク)のグラフ
電動バイク図面特開2022-027936【図1】

 

  • 上位5社には、国内のバイク大手4社(本田、ヤマハ、スズキ、川崎)と三洋電機が入る
  • バイク大手4社のうち、3社は2000年以前から出願があるが、川崎重工業だけは2010年以降の出願
  • 海外では、エルジー・ケム(大韓民国)、ミシュラン ルシェルシュ(フランス共和国)などが見受けられる

 

技術分野(FI分類)別推移(バイク)

用途がバイクである技術分野(FI分類サブグループ、廃止除く)の上位15推移

技術分野(FI分類)別推移(バイク)のグラフ

 

  • 上位には、B62J9/00「特別の入れ物」とB62J11/00「支持装置」が並ぶ
  • モータ位置に関して、B62M7/12「駆動車輪の内部または側にエンジン」、B62M7/02「前後輪間にエンジン」、B62M7/06「サドルまたは座席の直下」が付与されているものが多い
  • 電動に関連し、B60L3/00「電気的推進車両の保安目的の電気的装置;変化の監視操作」、H02J7/00「電池の充電または減極または電池から負荷への電力給電のための回路装置」が付与されているものが多い

 

出願人別推移(重複)

用途が重複している出願人の上位15社(15位タイ含む)推移 

出願人別推移(重複)のグラフ

 

重複している特許の図面特開2022-083260【図1】
  • 上位の顔ぶれは全体と似通っているが、エルジー・ケムは順位が高い。公報を見ると、内容は電池関連である
  • 全体には無い、オムロン、東レなどが入っている

 

技術分野(FI分類)別推移(重複)

用途が重複している技術分野(FI分類サブグループ、廃止除く)の上位15推移 

技術分野(FI分類)別推移(重複)のグラフ

 

  • 電池関連で、H02J7/00「電池の充電または減極または電池から負荷への電力給電のための回路装置」、H01M10/44「充電または放電のための方法」、H01M10/48「状態の測定,試験または指示のための装置と結合した蓄電池」が上位に入る
  • B60L「電気的推進車両の推進装置」では、3/00「電気的推進車両の保安目的の電気的装置;変化の監視操作」、15/20「所定の駆動を行なうよう車両またはその駆動モータを制御」が入っている

 

まとめ

小型電動モビリティ(電動キックボード/電動自転車/電動バイク)を用途として記載の特許/実用新案を集め、その用途/出願人/技術分野の分析を行い、以下の傾向があることがわかりました

 

全体

特許/実用新案出願は、1990年頃から自転車を中心として増加し、一旦2002~2009年に落ち込んだものの、それ以降はバイクや重複(多用途)も重なって増加し、それ以降は目立った増減なく推移

 

 

キックボード用

出願数全体が少なく、傑出した出願人もいない

FI分類では、殆ど(8割以上)にA63C17/12「駆動機構を有するもの」が付与され、その他にA63C17/02「二組の車輪配置」、A63C17/14「ブレーキ」なども多い

 

 

自転車用

全体ではシマノ、ヤマハ発動機、三洋電機、本田技研工業、パナソニックが多く、直近10年ではシマノが多い

FI分類では、多くに電動自転車を示すB60M23/02およびB62M6/40~6/75が付与されているが、それ以外に、B62J9/00「特別の入れ物」、B62J11/00「支持装置」、B60L15/20「所定の駆動を行なうよう車両またはその駆動モータを制御」、H02J7/00「電池の充電または減極または電池から負荷への電力給電のための回路装置」なども多い

 

 

バイク用

上位5社には、国内のバイク大手4社(本田、ヤマハ、スズキ、川崎)と三洋電機が入り、川崎重工業は2010年以降の出願となる

FI分類としては、B62J9/00「特別の入れ物」とB62J11/00「支持装置」が最も多いが、モータ位置に関するB62M7/12、B62M7/02、B62M7/06も多い

 

 

重複

電池関連で、H02J7/00「電池の充電または減極または電池から負荷への電力給電のための回路装置」、H01M10/44「充電または放電のための方法」、H01M10/48「状態の測定,試験または指示のための装置と結合した蓄電池」が上位に入る

 

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今回のサンプルでは小型電動モビリティ関連特許についての分析をご紹介しました。

特許分析・マップ化をすることで技術全体の傾向や特徴を捉え、

出願戦略や特許ポートフォリオに活かすことができます。

 

今回は全体像のコメント記載していますが、

注目するべきポイントや技術の指定をいただいたり、レポートの形式をご要望に合わせることも可能です。

 

自社の関連技術での分析結果がどのようになるのか、ご興味が湧いた方はぜひお気軽にご依頼・お問い合わせください。

 

 

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